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高枝切りのこぎり

[現状と目標]

数メートルを越す樹木の枝の伐採では、高所作業のためのクレーン車を必要とする大がかりな作業が行われています。街路樹の枝の伐採などクレーン車が横付けできる位置に樹木が位置する場合にはこれは有効ですが、樹木が庭の片隅にあったり、樹木が傾斜した斜面に位置するような場合にはとび職人に頼るしかありません。とび職人がたどり着けないような場所の枝を伐採したい場合には、地上から長い竿の先端に取り付けたのこぎりを用いることになります。しかし、長い竿の重さと先端ののこぎり部分の重さによりおおむね5m以上の高さの枝の伐採は困難でしょう。
10m程度の高さにある、直径10cm程度の樹木の枝を伐採するために、クレーン車が使えず、とび職人も使えず、また、地面が斜面でハシゴなどの土台となるものも利用できない場合、現時点で利用できる手動の道具は存在しないと言っても過言ではありません。本品は、いわゆる高枝切りはさみなどで対処できる高さ以上の位置の枝に対応できる手動の道具です。つまり、市販されている高枝切りはさみで最大で4mの高さで直径3cmまでの枝を切ることができるものがありますが、それ以上の高さで直径10~20cmの枝を伐採したいわけです。斜面にある樹木を想定し、クレーン車利用など作業足場の位置を上げることができず、とび職人も利用できない場面で、この伐採のために手動の道具を実現することが目標です。

[道具と伐採作業の説明]

図1に沿って説明します。切り落とそうとする枝の反対側(根元側)に支持枠1を固定します。固定方法は後述します。この固定枠に取り付けた軸2の周りに動くシーソー体3を付け、このシーソー体3にのこぎり4を保持枠5の自由回転軸6を介して保持します。シーソー体3はその両端に地上から伸ばしたロープ7,7'で操作されます。のこぎりを固定・保持した保持枠5には被伐採枝に対してのこぎりの圧力を掛けるための腕があり、その先端に張力をかけるためのロープ8が地上に向けて伸びています。伐採に際しては、ロープ8で張力を与えながら、ロープ7、7'をそれぞれ両手に持ってシーソー運動を与えてのこぎりを動かして行います。次に支持枠1を固定する方法を述べます。支持枠1の形状は被伐採枝径に応じて湾曲したあて板の両端に取り付けたロープ9、9'をそれぞれ枝の反対側から回して地上に垂らし、それぞれのロープ端を引っ張ることにより、本品本体を地上から当該枝の高さまで持ち上げ、ロープで固定します。このロープは地面に打ち込んだ杭に括り付けることもできますが、伐採作業中にゆるみが出ると作業が続けられないので、地上近くで2本のロープをより合わせて適当な重さの錘を付け、錘の自重でロープに常に張力がかかるようにします。また、のこぎりの圧力を与えるロープ8についても適切な重さの錘を利用します。この錘はシーソー運動に応じて上下しますが、のこぎりの保持枠の腕に付ける位置を調節して上下動の振幅を小さくできます(シーソー回転軸の真下位置が良いです)。これらの錘の利用により、本品は原理的に一人で操作できるものです。枝を切り落とした後には、ロープ9、9'の錘をはずしてロープを手に持ち静かに本品本体を地上に下ろすことができます。なお、最初にロープ9、9'を高い位置の枝に回し付けるには、2本のロープの先端を釣糸のように軽くて丈夫な紐に取り付け、その紐を小さい錘を付けて投げ上げる等の方法で最初に回し付けることは容易です。20mを超えるような高さの枝の場合でも軽い紐の先端をそこまで持ち上げる工夫は困難なものではありません。図1ではシーソー運動を行わせるロー プ7、7'が枝の真下に位置する想定ですが、安全上、真下を避けた角度位置が望ましく、この角度は地上のスペースが許されれば自由に選択できます。

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[応用例]

図2に示すように、10mの高さの位置にある直径約10cmの横枝を伐採することに用い、首尾よく伐採することができました。ここでは、市販の刃渡り24cmののこぎりを用いて、長さ20mのロープ2本を支持枠固定用に用い、長さ10mのシーソー運動用のロープ2本とのこぎりに圧力を与えるための10mの細いロープ1本を用いました。支持枠固定用ロープは支持枠固定のために丈夫な部分の長さが10mあれば良く、ここでは太い10mのロープにより細い10mのロープを接続して20mとし、より細いロープ部分は、地上から枝まで本品本体を持ち上げた後、作業終了して本品本体を地上に降ろす時まで切り離しています。支持枠の固定は2本のロープを地上付近で束ねて約10kgの錘を付けて行いました。のこぎりに与える圧力の錘には4kgのものを用いました。数回繰り返した枝の伐採では、直径の3分の1程度まで切り進んだ状態で自重により枝が折れ、樹皮部分で垂れ下がった枝が切り離せない場合もありました。切断面をきれいに保つには真下側の樹皮部分を始めに切り込んでおくのが良いです。これはロープの長さの余裕と地上の足場状態により容易に行えることもありますし、そうでないこともありますが、このことは本品の利用価値を減少させるものではありません。 被伐採枝の高さは必要なロープの長さを伸ばせばいくらでも上げることが可能で、安全上、切り口が目視できる高さという点から来る制約があるだけで、従来困難だった4m を超える高さの枝の伐採も可能となりました。切り口が目視できる高さの制約は、枝葉の茂みで切り口が目視できない場面で無理に作業を行い誤って支持枠付近で固定ロープを切断してしまった経験から来ています。

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[利用の範囲]

上で紹介した応用例は、裏庭の丘の斜面に生えた樹木の枝の伐採に用いたものですが、クレーン車が利用できない街路樹や公園樹木の剪定作業、斜面に植林された樹木の剪定作業にも活用できるものです。本品は安価に調達できる手動の道具であるため、林業、造園業、環境整備事業など樹木の剪定が必要とされる場面で、これまでより少ない設備投資で従来困難だと考えられてきた高枝の伐採が可能となります。一般の家庭などでも活用できると考えられます。

 

[知的所有権等]

 本品は「高枝切りのこぎり」として2016年6月17日特許の出願を行いました。

 

[試作品の貸出]

 本研究社には試作品があり、本品の利用を望む方には貸出期間を協議・予約の上、貸し出すことができます(図3)。ただし、貸出に際しては、使用方法の注意・説明のため、本研究社(土浦)まで受け取りに来ることができる方に限らせて頂きます(メールでお問い合わせ願います)。

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お問い合わせ

​弊社は新アイデアを商品化するための試作開発を主な業務とし、2018年秋以降麦工房土浦のパン工房を設立し、数少ないスタッフで運営しているため、営業時間中であっても直接の対応が難しいため、できるだけメールでのお問い合わせをお願いしています。

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