試作開発品1 節水用手元水栓
この水栓は、節水を実行する消費者の手助けをする器具です。広く使われている台所の混合水栓では、水の出口が開閉レバーの位置から離れていることから、作業を片手で行うと同時にもう一方の片手でレバーを操作するようにしないと水を無駄なく使うことができません。つまり、作業のために両手が水の出口付近にあるとき、流水を止めようとするとレバーを操作する手を出口付近からレバーまで移動する必要があり、その時間の間に無駄に水を流してしまいます。この無駄は一回の操作ではわずかな量ですが、日常生活での利用が蓄積すると全体の無駄は大きくなります。また、都市単位で蓄積される無駄を考えると放置できません。これを解決するために水の出口に開閉弁を取り付けることを考えました。この弁の操作はいちいち面倒ではあるけれども節水が実現できることをよしとする消費者には歓迎される器具です。この水栓は、実用新案として、節水用手元水栓の名称で第3204603号として平成28年5月18日に特許庁に登録されました。
その構造は、図1に示すように、外被部分をシングルレバーの水の出口に直接ねじ込み、蝶ねじで回す弁で水流を開閉するシンプルな構造です。開ける場合の蝶ねじ位置を調整することで流量を絞ることもできます。試作品では、外被部分をアルミ合金、蝶ねじ部分を真鍮としており、図2はこの試作品のパーツをすべて示しています。この試作品をシングルレバー水栓に取り付け水を流している様子を図3に示します。特許申請書類にも記載していますが、10枚の大皿の洗浄で約30%の節水が実現できました。

なお、実用新案特許の権利は物理工学研究社にありますが、都市単位での無駄が省かれることを念じて独占的な権利の行使は行いません。多くの企業でこの実用新案を利用した生産が行われ、さらに改良された製品が生み出されることを切に願います。